WORK & PERSONS
PROJECT STORY 02

美浜バイオプラント
プロジェクト
オリゴ糖生産設備

ガラクトオリゴ糖を自社生産し、
生産・供給能力の大幅増強を実現

OUTLINE

当社は2023年、千葉工場(千葉市美浜区)内におけるガラクトオリゴ糖(※)工場立ち上げプロジェクトをスタートした。その目的は、砂糖に次ぐ新しい事業の柱として当社が注力しているガラクトオリゴ糖の生産・供給能力を大幅増強すること。プロジェクト開始から、2025年3月3日の操業開始に至るまでの軌跡を追った。
※ガラクトオリゴ糖:熱や酸への耐性が強く、近年、加工食品や炭酸飲料、果汁飲料向けなど業務用需要が拡大している。

MEMBER PROFILES

Y.T.

ネオ機能性素材部 R&D課
2015年新卒入社

大学時代に糖質について研究していたことから、糖類を原料として扱う企業に絞り就職活動を行う。中でも広く使われる砂糖を製造する当社に魅力を感じ入社。入社後、関西工場に配属され、精製糖工場のオペレーターを経験したのち、2018年より現部署へ異動。沖縄事業所を経て、現在、美浜バイオプラントに勤務し、開発職・製造職を兼務している。

T.M.

生産本部 生産技術部
プロジェクト実施時はエンジニアリング部
2021年中途入社

前職では食品会社の工場に勤務し、その中で公害防止管理者、エネルギー管理士などの資格を取得。工場での経験や資格を活かせる職場として当社生産技術部への転職を決めた。入社以来、設備修繕計画作成、工事購入決裁書の精査、価格交渉、工事監理など幅広い業務を担当している。

EPISODE

01

機能性事業の拡大を目指し、
自社生産による
生産量増の実現へ

現在、砂糖市場は縮小傾向にあるものの、当社の業績は堅調に推移している。そうした中、当社は「Food & Wellness事業」の拡大を重点戦略として掲げ、将来を見据えて機能性事業の強化を進めていた。その中で2022年頃より課題となっていたのが、ガラクトオリゴ糖需要の増加に対する生産量不足だった。
そこでネオ機能性素材部では、まず既存の製造委託先での生産量増の協力要請や、新規の製造委託先の探索・検証を重ねた。しかし委託先設備キャパシティに限界があり、最終的には断念せざるを得なかった。
そんな折に浮上したのが、千葉工場内の遊休スペースを活用して新工場を立ち上げ、ガラクトオリゴ糖を自社生産する「美浜バイオプラントプロジェクト」である。投資採算を検討した結果、2023年に製造委託先よりスケールアップした新工場計画への投資が決定。それを受けて、千葉工場へのガラクトオリゴ糖製造ライン移設プロジェクトを担当することになったY.T.が、生産技術部のT.M.へ必要な設備構成を共有し、本格的にプロジェクトがスタートした。

Y.T.

2022年頃、私は沖縄事業所で別のオリゴ糖(サイクロデキストラン)の小規模プラントの立ち上げ・稼働に携わりながら、製造委託先へのガラクトオリゴ糖の増産の協力要請や新規の製造委託先の探索・検証を行っていました。そんな中、いよいよ自社で大規模プラントを立ち上げることが決まり、そのミッションを受けて、2024年に千葉工場に異動することに。数億円規模のプロジェクトや、多くの関係各所との調整は初めての経験であり、やりがいと責任の重さを感じました。

EPISODE

02

困難な条件下で、定められた
予算・スケジュールを守り抜く

設備選定・発注を行う上で課題となったのは、「世界的な資材高騰・不足」「人手をかけず自動化を実現する必要性」だ。これらを踏まえた上で、決まっている大枠の予算に収めなければならなかった。また、新工場稼働開始時期も厳しく設定されていた。製造委託先の生産終了期日が決まっており、2025年早々には新工場での生産・出荷できる状態になっていなければ、当社のガラクトオリゴ糖が欠品してしまう恐れがあったのだ。
T.M.は10数社のベンダーとやりとりを行い、見積検討、各設備の詳細設計、仕様確定を進める中で、自動化に必要な機能を残しつつコスト削減に努めた。また、製造委託先に当社が貸与している古い設備を修理・再利用することで、大幅なコスト削減を実現した。
設備発注を始めたのは2023年4月頃から。最長8か月納期の設備もあり、そうした時間がかかるものに関しては、優先的に発注を進めた。また、インバータの納期が長期化する中、動力機器の仕様が確定しない状況でもインバータの仕様を決めて先行発注を行うなど、竣工時期を見据えながら対応した。

T.M.

最も頭を悩ませたのは予算化です。各ベンダーからそれぞれ見積りを依頼する中でどんどん仕様詳細が決まっていくと、「これもしたい」「あれもしたい」という要望が出てきて、コストアップの要因になります。それでも予算内に収めなくてはなりません。予算削減に大きく貢献したのは、製造委託先に貸与している設備を、整備項目を決めて修理し再利用できたこと。大変でしたが、購入すれば数千万円になるため、非常に効果的な施策でした。

Y.T.

設備の仕様決めでは、食品衛生法のポジティブリスト対応にも苦労しました。当時はまだ制度に対応できる部品が少なく使用可能部材の絞り込みが難しく、設備メーカーとの代替検討のための協議に時間を要しました。

EPISODE

03

あらゆる課題を乗り越え、
設備据付工事を完了

設備据付工事は2024年2月に開始され、1期(ゴールデンウィーク)、2期(お盆)、3期(年末年始)と3段階に分けて進められた。
T.M.が苦労したのは、設備同士をつなぐ配管設計である。3次元をイメージして各設備の配置を検討するとともに、センサー・バルブ・配管を支える支柱の位置を調整する。この際、稼働後のオペレーターの動線を妨げないよう配管を迂回する必要もあるため、設備のレイアウト検討・実際の据付での微調整は困難を極めた。
一方、この頃、Y.T.は、官公庁への許可申請に奔走していた。許可が下りていない状態で試運転を行うと違法製造になるため、設備据付が完了する年末年始までに申請を完了しなければならなかった。にもかかわらず、申請後半年かかることもあると聞き、焦燥感が募る中、外部コンサルに協力を得て行政へ日参。その結果、無事に許可を取得した。
新工場内にすべての設備が揃ったのは、2025年1月。その後、試運転が開始された。

T.M.

3期工事では、製造委託先が使用していた設備の分解・移設という大仕事がありました。委託先と新工場では建物の大きさや天井高、搬入口の間口などが異なるため、それらを考慮した綿密な分解・輸送計画が必要でした。最後に想定したトラック台数で足りるか心配でしたが、計画通りに進んだ時はほっとしました。

EPISODE

04

美浜バイオプラント操業により、
「Food&Wellness事業」の
成長を加速

2025年1月末よりテスト生産を開始し、2月末には早くも製品規格を満たすガラクトオリゴ糖が生産に成功した。
T.M.は「限られたスケジュールの中でも、設備選定時に詳細を吟味して仕様決めを行ったことが功を奏した」と振り返る。一方、Y.T.は、「オペレーターが実際に現場でどう作業するのか、事前に製造委託先に行き学んだことで、製造に必要なマニュアルもしっかり整備できたため、スムーズに設備を動かすことができた」と語る。
そして2025年3月3日、新工場「美浜バイオプラント」の操業式を迎えた。2026年春にも本格稼働を予定している。工場内は順次拡張可能なレイアウトで、製造キャパシティは最大で数百トン規模となる予定。また、新工場の2階部分には、サイクロデキストラン(※)生産設備を導入し、2025年度中にも本生産開始を見込んでいる。
「美浜バイオプラント竣工」により、当社は、砂糖事業とともに、機能性素材事業を軸として、「Food&Wellness事業」の成長を加速させる、大きな第一歩を踏み出した。

※サイクロデキストラン(CI):歯垢形成を抑制し、砂糖と一緒に使用しても効果が認められる。ペットフードや洗口剤など今後の需要増に向け増産を図る予定。

Y.T.

これまでは大口の発注があっても生産量不足でお断りせざるを得ないことがありました。しかし、美浜バイオプラントの操業で供給能力が大幅に向上し、BtoBの提案を強化していけることをうれしく思っています。また、今回のプロジェクトを通じて個人的に学んだことは多々あります。社内外含めて多くの関係先と連携する中で交渉能力が確実に上がりましたし、大規模プロジェクトのノウハウも身についたと感じています。

T.M.

製造ラインの設計・導入を担当する中で、多くの知識・スキルを得ることができました。一方で、自分の不足点にも気づいたため、今後に向けて日常的に知識・スキルのレベルアップを図りたいです。これからも当社の多様な設備・施設の維持管理や、新たな設備の導入を通じて、生産技術担当として成長していけたらと考えています。